仕事初め早々、嫌なニュースが飛び込んできた。
写真・映像をやる人やそれに従事する人には聞き逃せない、コダックの業績不振に関わるニュースだ。
報道にはNY証券取引所からの上場廃止、数週間内での破産法申請が取り沙汰されている。
経営の足を引っ張っているのがフィルムの製造販売だけではないと思うが、どう考えてみても採算の取れている部門ではないので、仮に何所かが買収したとしても、真っ先に切り捨てられる部門ではないかと思われる。
ご存知のようにフィルムの製造販売は縮小の一途である。
撤退が相次ぐ中、フジフイルムやコダックは粘り強く継続してくれているが、ここにきて最大手が力尽きた感がある。
こうなるとコダクロームの製造販売中止なんていうニュースは生易しいものだったと思う。
現在でも小ロットながら製造を続けているメーカーはあるし、恐らく今後も(仮にコダックがなくなったとしても)、需要がある限りはそういう供給体制が存続していくだろう。
現在、フィルム製造販売で苦境に立たされている会社は「すべての写真がフィルム」だった頃の採算ベイスで商売を続けたしっぺ返しを受けているのであって、「ほとんどの写真がデジタル」の時代での採算ベイスを取っている会社は余力でフィルム製造販売をしているか、あるいはもっと規模の小さい会社に外注を出しているはずだ。
そういった創意工夫なしに新時代を乗り切っていこうというのは素人目に見ても無理がある。
ある意味では自然の流れであると思うし、週に1本も使うかどうかの僕がとやかく言えるような話じゃない。
こうなると「フィルム写真の危機」とか「フィルム文化の終焉」とか言われるのだろうけど、それでなくなる文化なら最初からなかったに等しい。
文化はサプライヤー側が創るのではなく受け手の方が創るものだ。
それくらいの覚悟や思い入れがなければ、それは文化などではない。
文化というのは字面ほどアカデミックなものではなく血と汗と涙の歴史だ。
文化を存続させたいと思うなら、それ相当の血や汗を流さなくてはならないだろう。
もしコダックがフィルム製造販売を止めたとして、次に粉骨砕身するのは「文化」を口にする者なのだ。
どうでも良いけど、SWHを35mmで使うと、絶対一枚は指が写っちゃうんだよなぁ…。