ウエストレベル

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P6にウエストレベルのファインダを付けてみた。
購入した時にケースと一緒に付いてきたのだけど、露出計付きのプリズムファインダが思いの外便利だったのと、露出が結構当たるので付けっぱなしにしてきたのだ。

スクリーンのせいか非常にファインダが暗いのと視野も狭いのだが、もうこれはP6の特徴の一つでもあるらしいので諦めていたのだけど、ウエストレベルであれば「ある程度」は救われる。
僕の視力の問題でもあるのだけど、プリズムファインダでピント合わせが厳しいような状況でも、ウエストレベルでルーペを使うと、案外と合わせやすく感じるのだ。

勿論カメラ自体も軽く、露出計と連動しないプリズムファインダと、外部の露出計を使って撮るウエストレベルファインダとでは、逆にウエストレベルの方がテンポが良い。

やはりカメラはシンプルな物の方が好い。

八幡園

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邂逅と云う程のものではないが、何時無くなるとも知れない物と再会出来るのは嬉しい。
これは家主の理解に感謝すべきであろうと思う。

名古屋市内にも赤線が数カ所あった。
現在でもソープランドが点在する ( それでも数は減ったが ) 名楽園 (中村遊郭 )、先日掲載した城東園、港区にあった港陽園、そして中川区尾頭橋近くにあった、この八幡園。
何れも戦前からあった遊郭が移転したり、そのままの場所で営業を始めたりした物である。
赤線があれば青線もあったのだろうが、元より非公認であったので確認する術がない。

赤線と呼ばれる地域から灯りが消えたのが昭和 33 年、つまり 1958 年だ。
今から 54 年前の事である。
普通に考えて 54 年前の建物が現存していても何ら不思議ではない。
大正や明治、あるいは江戸時代の建物が残っていたりするし、戦火を逃れている昭和の建物は数多くある。
これらの場所にある当時の建物は、有り体に言えば「負の歴史」の証言者である。
所有者は変わり、その新しい所有者が、そういった歴史に終止符を打とうと考えるのも当然である。
事実、老朽化した当時の建物を取り壊し、新しい家屋を造る光景を何度も目の当たりにしてきた。
それに対して非難などお門違いであるし、そういった古い建物を維持するのは個人の力では限界があるのも知っている。

しかし、この地の建物の所有者は違うようである。
放置されたままの建物もあるが、剥落もないタイルの壁や、今となっては必要のない屋号を記した看板なども残されている。
事情を知らない為だ、と考えることも出来るが、周りの環境からも、あるいはちょっとした地元史を見れば、自分の家が元は何であったかを知るのは簡単な事だ。
彼らは恐らく、何もかもを承知の上で、そういった証人を活かす事にしているのだ、と思う。
何時まで出来るかは分からないが出来る限りで。
そのお陰で、僕は上澄みだけではない地元の歴史を知る事が出来たし、こうして記録に残す事も出来る。
感謝の極みである。

この八幡園は、中村のそれ程大規模ではないが、往時の雰囲気がよく残っている場所であると思う。
観光地図には永遠に載らないであろう、これらの場所には、本当の意味での「生きた歴史」があるのだ、と思う。

注釈多し

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つい今しがたまで(現在am10:01)まで、今日が月曜だと信じ込んでいた(笑)

あ、そうだった繋がり(どんな繋がりやねん)で思い出したのが、先日のマミヤで撮ったポートラ160NC(大期限切れ)はわざわざ現像に出すのもアレだったので、ナニワカラーキットで現像したのだったのだ。
ナニワカラーキットはカラーネガの自家現像キットとしてつとに著名である。これは著名という言葉の定義によるのは言うまでもないので知らない人はまったく知らない。

ま、単純にイメージの問題ではあるが、どうも「ナニワ」というカタカナ表記には「ナニワ金融道」とかが浮かんできてしまってパンチパーマが脳裏をよぎる。偏見である。
じゃフイルムまでクルクルのパンチに仕上がるかといえば、そんなはずがあるわけないのであって、ちゃんと現像できる。

モノクロの自家現像は簡単である。
物の本とかwebページを見ると、やる前から気力が失せるくらいゴチャゴチャ注釈が垂れてあるが、ISO400のフイルムを使って普通に露光されているフイルムを現像する場合、手順さえ間違わずにやれば、まー余程のことがない限り現像できる。
水温の管理もそんなにシビアじゃない。現に僕自身も現像を始める前にざっくり計るだけである。(ホントにちゃんとコントラストの付き方とかをコントロールする気なら、こんなんじゃアカン)
ところがC-41現像をやるときにはそんなわけにはいかないらしい。 
キットの説明書にも30度か38度でやれと書いてある。誤差は仕方ないにしても、ちゃんと温度管理しないと知ーらんべ、と書いてある(ない)

現像の手順自体はモノクロと変わらない。現像して止めて定着する。
これがカラーだと現像と漂白の2液になるが、それぞれの行程の意味は同じだと思ってよい(たぶん)
温度管理ったって、精々湯煎するくらいである。ちょっと熱めのお湯を洗面器に溜めといて、撹拌が終わるたびに漬けておく。
恒温のバットでもありゃ別だけど、普通はこんなもんでしょう。
んで水洗して終了。

案外キレイに出来る。
マトモなフイルムでやってもカラーバランスがおかしいのがデフォなのでスキャンして補正する。 
それでもNCのしぶーい発色は再現できた。

これらの現像液や漂白液は何回か使えるのでとって置く。
疲労はするので現像時間を延ばしたりする必要があるが、参考値はキットの説明書にあるので無問題。
ただポリビンの数が増えるので、家人からは嫌な顔をされる。

ちなみに使ったのはコレです。 

浮遊する視線

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雨が降り出す前にマミヤにコダック160NCを詰めて近所を歩いた。
この160NCは期限を大幅に過ぎている代物だが、デジタルの恩恵を享受して補正している。

僕がこの地に引っ越してきて既に20年余になるが、当時は擦れ違う車さえ数えるほどだったこの地も、徐々に人が増え始め、新たに私立の小学校が出来るのだという。
この場所はつい最近まで鬱蒼とした森だった場所。
削り落とされた丘から遠く名古屋市街地が見渡せる。

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反対に以前からある市営住宅は一軒あたりが狭小である上に老朽化が進んでいる。
居住者も独居老人が多くなっており、住人向けに作られた商店もシャッターを下ろす日の方が多くなっている。

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住宅地としての歴史は浅いが、もちろん古くから住んでいる人も多い。
この梅林はそういった方の土地の物だが、毎年美しく咲き誇り、近隣の者の目を楽しませている。

ブローニ1本、スクエアなら12枚。
家を出たのが11時くらいで、途中喫茶店でコーヒーを飲んで帰宅したのが12時前。
慌てて撮る感じでもなく、大体僕のスナップはこんなスピードだ。

実は今回使ったマミヤ・セコール105mmは自分で修理したものだ。
スローが粘ってきていて、1秒がまともに落ちない。
そこで分解してスローガバナを取り出し清掃・注油を施した。
ついでにレンズも清掃したので試し取りというところだ。
結果はご覧のとおり。上々である。
古いカメラは手入れさえすれば、写真機としての価値が目減りしないのがいい。

少し浮世を忘れた時間。