偶然

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これは木村伊兵衛氏による東京は佃でのスナップ。作品としては晩年の物で、飴細工の出来上がりを待つ少年と店主 ( でいいのだろうか ) の姿である。
昨晩、田中長徳氏の FB で、この場所の事が触れられており、最近長徳氏が撮影された現地の写真も掲載されていた。

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Leitz Elmar f=5cm 1:3.5

これを読んで、ふと気持ちに引っかかる物があった。
長徳氏の撮影した写真の風景に、何となくではあるが見覚えがある気がしたのだ。
急いで昨年佃で撮影した何枚かを確認してみると、確信はなかったが、恐らく間違いない場所の写真があった。
髪を結い上げたお婆さんの身のこなしが、如何にも江戸っ子ぽく思えてシャッターを切ったのだが、
もしこの場所で木村氏も撮影していたのであれば、これは偶然とは言え嬉しい。
早速、長徳氏に FB を通じて写真を見てもらい確認をする。
長徳氏からの返答は、豈図らんや YES であった。
少年が腰掛けているガードレールは、僕が撮影したお婆さんの右手になり、この場所は三角形になっている。
ちょうど僕は木村氏の撮影している先の方向からこちらを撮った形であり、さらに木村氏の居る方向から三角形の左側を撮っている。
単なる偶然なのだが、インスピレーションが湧いたのが、名だたる巨匠と同じ場所だったというのは何物にも変え難い。
大切な一枚となったのだ。
末筆ながら多忙の中、拙作を見ていただいた田中長徳氏には、改めてお礼を申し上げる次第である。

追記 言葉足らずなので、手書きのメモを添付。位置関係はこんな感じ。

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